「釜石市の、ある小学校の児童の生存率は、99.8%でした」
先日大阪で開催された教育EXPOで、
僕は様々な基調講演を拝聴してきました。
その中の一つのお話がとても印象的でした。
東京大学・慶応大学教授であり、
元文部科学大臣補佐官・元文部科学副大臣である鈴木寛氏のお話。
講演のテーマは「AI時代の教育」
まさに今僕が興味のあるテーマの一つでした。
鈴木氏の話の中で、釜石市のある小学校の話が出てきました。
群馬大学の片田教授の指導のもとで、
ずっと防災教育がなされてきた小学校です。
その防災教育で大切にしていたことは
「想定外を生き抜く力」。
教えてきたことは、次の3つ。
①想定・マニュアルに頼りすぎない
②ミスを恐れず、ベストを尽くす
③指示を待たずに、率先者になる
この3つを徹底的に教えてきたとのことです。
これが本領を発揮したのが、2011年3月の東日本大震災。
登校していた児童の生存率が、驚異の99.8%。
なぜここまで高い生存率になったのでしょうか。
それは間違いなく、上記の3つが子どもたちの頭の中に
根付いていたからです。
鈴木氏の話によると、普段から「想定外を生き抜く力」を
育てる教育を受けている子どもたちは、想定外の地震に対して、
自分の頭で判断して行動した、とのことです。
その場で状況を見て判断して、友達と一緒に避難したり、
近くにいたお年寄りを連れて安全な場所に一緒に行ったり、
という行動を取ったのです。
21世紀は、想定外のことがたくさん起こる時代になるでしょう。
一例として、コンピュータが発達していくことでどんなことが
起こるのか、誰にもわかりません。
シンギュラリティ(技術的特異点:コンピュータが人間の知能を超える)
を迎えたあとの世界はどうなるのか、そもそもシンギュラリティが
起こるのかどうか、誰にもわかりません。
こんな想定外がたくさん起こる時代に、マニュアルに頼っていては、
いざというときに自分や大切な人の命を守れない可能性が高いです。
鈴木氏は言っていました。
「21世紀に求められる人材像の一つは、
想定外や板挟みに向き合い取り組むことができる人材」
子どもたちに、どうやって「想定外を生き抜く力」をつけることができるのか、
そもそも大人の我々がどうやってその力をつけていくのか、
今後の非常に重要な課題だと感じました。