久しぶりに、外山滋比古さんの「思考の整理学」を読みました。
「セレンディピティ」などが一時流行りましたが、
実はこの「思考の整理学」にすでに書かれてあります。
初版が1986年なのだから驚きです!
さて、ふと読み進めたところ、
「寝かせる」ことや「忘却」の重要性について書かれてありました。
知識を詰め込むのもいいけど、出るものが出ないと詰まってしまう。
食べたら出すのと同じように、知識もたくさん入れた後は出す、
つまり「忘れる」ことが重要だ、とのこと。
勉強したあとは一旦その勉強から離れて、
知識を寝かせて整理することが大事です。
これを読んで、ふと高校の数学の先生のことを思い出しました。
高3になり、いろいろと予備校に行くようになりました。
当時は全くわかりもしないのに、数学のハイレベルな授業を受けることにしました。
予習課題がいくつか渡されましたが、さっぱりわかりません。
そこで、当時の数学の先生によく質問に行きました。
快く教えてくれましたが、どうしたことか、
1問だけ先生でもわからない問題があったのです。
その先生は、当時僕の高校の高3理系数学担当なので、
いわば数学のトップとも言える立場にあります。
その先生がわからないなんて!
先生がわからないものを生徒に解かせるなんて、
なんという予備校だ…と当時は思いました。
結局その問題を持っていったその場では、
先生は解けませんでした。
悔しいから、と言って先生はその問題をコピーして
持って帰りました。
1週間ほどしたとき、先生から
「小川くん、あの問題、わかりましたよ!」
と話しかけてくれました!
「ぼーっとお風呂に入ってるときに、ふと閃いたんです」
と嬉しそうに語る表情が印象的でした。
もちろんその後解説を聞きましたが、
何より印象に残ったのは、
「お風呂に入っているときに閃く」
ということ。
よく、文章を考えたりアイディアを思いつくのに
良い場所として「馬上枕上厠上」と言われます。
馬の上、寝床、トイレ、ということです。
いずれも自由な環境、心が開放されている状況です。
これはあくまで3つの例えなので、この3つの場所で
ある必要はありません。
心が開放される場所ならよいのです。
ということは、お風呂も心が開放される場所。
その数学の先生は、お風呂で開放的な気持ちになっていた
からこそ、数学の問題の解法を思いついたのだと思います。
ここからの教訓としては、
「行き詰まったら、一旦忘れて寝かせて、心を開放させなさい」
ということですね。
心を開放すれば、問題の解法を思いつく、ということです。